役行者物語蔵王権現感得 吉野山桜、これはサクラの花びらとオレンジの葉の取り合わせが山奥まで重なりあって味わい深さを見せているんですね。 この吉野山桜がいつからこんなに多く植えられるようになったのでしょうか。 その謎は今からさかのぼる1300数年前、奈良に都が遷る前、ここ南都がヤマトの中心だった時、葛城山の麓にて生まれ育ったエンノギョウジャ様の話が関係してきます。 では、始まり始まり。 |
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幼少の頃より神仏を敬い滝に打たれた山で修行してきた行者様は、ここ大峰山の入口、吉野山まで導かれてきました。 獣道を踏みしめて山奥へつき進んだ行者様は、思わぬものに出会い膝まづいてしまいました。 これは骸骨!左手に何か握りしめています。独鈷杵(どっこしょ)で、宗教の法具ですね。手にとって見ようとしたのですが、指が絡みついて離れません。行者様は祈りました。一心に祈っていますと、お不動さんが現れ力を貸してくれました。 すると、不思議なことにさっきまで力任せにいくら引っぱっても抜けなかった独鈷杵が、するりとほどけるように行者様の手に収まりました。 |
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更に行き場を求めて奥へ奥へと進んで行きますと、驚いたことに次々と大きさの違う骸骨に出会い計七対、これは自分自身の7回の生まれ変わりの姿です。まるで、夢を見ているようです。 更に修行を重ね行者様は一心不乱に祈り続けました。時は親兄弟肉親同志が血で血を洗う戦国時代、吉野川が血で染まった・・・かな?どうぞこの乱れた世をお救いください、平安をお与えください、と。 明るい光が差し込み湧き立つ五色の雲に立現れたのは、 |
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オシャカ様、カンノン様、ミロク様が、過去・現在・未来を示されたましたが、いずれもお姿がお優しすぎて、荒れた世を抑えるのは難しい。 | |
そのお姿が瞼に焼き付いているうちに、と手近の桜の木にそのお姿を彫られました。 以来1300年、その桜の周囲には行者様を信仰する人々、里人の手によって桜が一つ一つ植えられました。 増え続けた桜の木々が守り伝えられているうちに、吉野山全山覆い尽くす規模にまで膨れ上がりました。 お山を守る金峯山寺(きんぶせんじ)蔵王堂には巨大な(本尊は3mにも及ぶ)蔵王権現像が3体まつられています。 これにて役行者蔵王権現感得されるの巻おしまい。 |